最小MOQで50%容量UP!自社製カスタムトレイ開発事例

カスタムトレイソリューション:設計から量産までの実践

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本記事では、膜ろ過材料メーカーであるMbranfiltra向けにカスタムトレイソリューションを開発し、水浄化器部品の製造、輸送、加工工程での保護と安定性を確保する方法を紹介します。
従来のOEMによる高い最小発注数量(MOQ)に直面し、自社製トレイソリューションを提案。
要件分析、設計反復、試作から量産までの全プロセスを詳述しました。
複数回の設計最適化とテストにより、糸引き、スナップフィットの課題、切断問題を克服し、低コスト・高効率なトレイ量産を実現しています。

1. 背景と要件分析

水浄化器の製造工程では、トレイが繊細なフィルター要素を保護し、輸送や加工時の部品損傷を防ぐ重要な役割を果たします。
しかし、市販の汎用トレイではMbranfiltraの特別な要件を満たせず、フィルターのずれや加工コスト増加を招いていました。
また、工場内の既存在庫だけでは従来のOEM MOQを満たせないため、カスタムトレイの開発が必要となりました。

汎用トレイの課題

  • 保護性能不足:輸送中にフィルターがずれやすい。
  • 容量制限:1トレイあたり30個の部品しか収納できない。

カスタムトレイの目標

  • 容量向上:容量を50%増加し、1トレイあたり45個を収納。
  • 部品安定性:輸送および積み重ね時のずれや脱落を防止。
  • コスト削減:部品損傷による追加コストを最小限に抑制。

2. 設計とプロトタイピング

バージョン1デザイン:完全包覆構造

第1版のコンセプトでは、各浄水器部品を完全に包み込む構造とし、最大限の保護を目指しました。しかし、テストの結果、この構造はスペースを過度に消費し、配列時にフィラメントの引き戻し(ストリング)が発生、トレイの積載密度が低下することが判明しました。

バージョン2デザイン:構造簡素化と積み重ね問題

第2版ではトレイ構造を簡素化しましたが、積み重ね時の安定性を見落としていました。第2層のトレイが滑りやすく、安全な積み重ねができませんでした。

バージョン3デザイン:スナップフィット構造の調整

第3版では、スナップフィット機構を再調整し積み重ね安定性を向上させました。しかし、追加したスナップが過剰にスペースを占有し、トレイの高さが増加してしまいました。

バージョン4デザイン:ネガティブモールドの課題

第4版では部品外周を利用したスナップフィット配置のネガティブモールド設計を試みましたが、ストリングがひどく発生し、トレイが正常に使用できませんでした。

バージョン5デザイン:ポジティブモールドの突破

ストリング問題を解決するため、第5版ではポジティブモールドを採用。これによりストリングを防ぎつつ、ネガティブモールドのスナップフィットポイントも維持しました。

バージョン6デザイン:スナップフィットの微調整

モールド間のサイズ差に対応するため、第6版ではスナップフィットの寸法を細かく調整し、確実な保持力と信頼性のある積み重ねを実現しました。

3. 量産フロー&切断用ジグ設計

切断ジグの設計

カスタムトレイの量産を実現するため、成形シェルを迅速かつ正確にトリミングする切断ジグを設計しました。

バージョン1切断ジグ:課題

第1版ジグはクリアランス不足、クランプ保持力不足で、粗いエッジや品質ムラを生じました。

バージョン2切断ジグ:真空成型モールド統合

第2版ジグでは真空成型モールド概念を採用し、外周にスリーブを追加してジグが真空室内に巻き込まれるのを防ぎました。

バージョン7モールド:SLA歪みの影響

第7版モールドはSLA 3Dプリント製でしたが、わずかな歪みにより成型モールドと切断ジグの寸法がずれ、切断精度に影響が出ました。

最終ソリューション:外周スリーブの適用

最終ソリューションとして、モールド外周に同高さのスリーブを設置し、真空成型時のジグ位置を安定化。
成型後にスリーブを取り外すだけで切断作業に移れるため、時間と手間を大幅に削減しました。

結論

複数回の設計反復と実験を通じて、Mbranfiltra向けカスタムトレイソリューションを成功裏に開発しました。
最終デザインはトレイの容量と積み重ね安定性を大幅に向上させ、生産コストを削減し、効率的な量産フローを確立しました。
本プロセスで得られた知見は、今後のカスタムトレイ開発における貴重なガイドラインとなります。

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